研究概要 |
【目的】頸動脈狭窄症におけるプラークの性状を放射線学的及び組織学的に検討し、プラークの不安定性を解析することを目的とする。また、これらの解析で得られた知見をもとに、様々な画像modalityにおけるプラーク不安定性評価の信頼性、相関性につき検討を加える。 【対象・方法】2009年より当大学において頸動脈狭窄症の治療対象となった症例において、MRI plaque imaging及びCT angiography delayed imagingを用いたsubtraction法によりplaque stabilityの評価を行った。また、頸動脈露出後にICG 12.5mgを静脈内投与、さらには0.05mgをstump pressure用ニードルから動脈内投与を行った。新生血管についてはStage 1 (no-linear), Stage 2 (focal, radial), Stage 3 (entire, radial)に分類し、術前のプラークMRI所見、術後の組織学的評価との相関性を検討した。 【結果・考察】MRIでは高い感度、特異度でlipid rich plaque, intraplaque hemorrhageの検出が可能であった。CT angiographyで造影剤のしみこみ効果をみることでプラークの安定性を評価することが可能であった。新生血管についてはstageが高いほど有意にT1WI(p<0.01),TOF(p<0.05)で高値を示しており、組織学的評価でも出血を伴ったlipid rich necrotic core、プラークshoulderの新生血管数と相関していた。また静脈内投与と動脈内投与を比較することで新生血管が外膜優位か内膜優位かの評価が可能であった。 【意義】マルチスライスCT angiographyを用い、プラークの質的診断の評価法を確立した。またICGにおけるvasa vasorumの発達はプラークの脆弱性と相関したため、術中診断としての有効性が期待される。
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