研究課題/領域番号 |
21591850
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
河野 隆幸 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 助教 (50448536)
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研究分担者 |
倉津 純一 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (20145296)
森岡 基浩 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 准教授 (20295140)
矢野 茂敏 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (60332871)
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キーワード | 脳動脈瘤 / シクロオキシゲナーゼ |
研究概要 |
目的 近年、脳動脈瘤の発生増大に、動脈瘤壁へのマクロファージ(MΦ)浸潤が関与することが報告されている。シクロオキシゲナーゼ(COX)は、プロスタグランジン(PG)産生の律速酵素であり、COX-1、COX-2、COX-3のアイソフォームが存在する。そのうちCOX-2は一般的に、炎症性サイトカインなどにより誘導され、PG産生を介して、血管透過性亢進、白血球遊走などに関与している。今回我々は、脳動脈瘤におけるMΦの浸潤とCOXの関与について検討した。 方法 クリッピング術を施行した14例の動脈瘤を採取した。内訳は男性6例、女性8例、破裂動脈瘤8例、未破裂動脈瘤6例であった。コントロール群として、頭蓋内動脈5例(中大脳動脈3例、前大脳動脈2例)、浅側頭動脈6例を用いた。組織はホルマリン固定後、パラフィン包埋し切片を作成した。Hematoxylin-Eosin染色、Elastica Van Gieson染色を行った。MΦのマーカーとして抗CD68抗体を使用した。抗COX-1抗体、抗COX-2抗体で免疫染色を行った。 結果 動脈瘤14例中12例にMΦの浸潤を認めた。浸潤がない2例は未破裂動脈瘤であった。コントロール群では、浅側頭動脈1例にのみMΦの浸潤を認めた。コントロール群で中膜に全周性のCOX-2の染色を認めたが、動脈瘤ではその構造が失われていた。しかし動脈瘤の内膜には、COX-2の発現が14例中11例に見られた。破裂例では全例で認められ、染色性も強かった。全症例、侵潤したMΦと同様の部位にはCOX-1およびCOX-2の発現が認められた。 結論 動脈瘤の発生、増大の機序として、血管壁へのMΦの浸潤、COX-1、COX-2の産生が関与していると考えられた。また、COX-2の内膜への発現は動脈瘤破裂に関与している可能性が示唆された。
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