骨髄幹細胞研究と脳動脈瘤に対する血管内治療を織り交ぜ、新しい治療方法を目指すこの研究は、今後の血管内治療への発展という意味で、非常に有益な研究であり、今後脳動脈瘤治療の根幹をなすものと考えている。また早期にこの研究結果を報告し、臨床応用することで、死亡率や後遺症を有する確率が極めて高い、クモ膜下出血患者の治療に一日でも早く、1人でも多く治療することが、社会的にも求められている。 本年度の研究実施 ミニブタ(体重30キロ前後)の総頚動脈分岐部に静脈にてパッチをあてた動脈瘤モデルを作製する。全身麻酔で脳動脈瘤モデルを作製し、大腿動脈経由でカテーテルを挿入し、作製した動脈瘤をプラチナコイルを用いて塞栓する。または動脈瘤頚部にステントを留置する。使用するデバイスや方法、器具などは実際の臨床治療で行うものと同様のものを用意する。生着させる細胞は、骨髄由来の骨髄間葉系幹細胞で、あらかじめステントに浸し、細胞を密着させる。 (1)ミニブタ動脈瘤モデルに対して、骨髄幹細胞ステントによる動脈瘤頚部留置術の治療効果を検討:骨髄幹細胞ステントと細胞のないステントを留置し治療効果を判定した。血管内膜増殖効果の判定を通常のベアステントと病理学的に比較、検討し、内膜新生時期についても検討する。またステント単独治療群とコイル+ステント治療群でも比較検討し、血管内膜の状態を、病理学的に検討した。 (2)骨髄幹細胞ステントの効果を検討:骨髄幹細胞が血管内膜を新生し、脳動脈瘤の基部に内膜を形成しているか病理学的に検討した。ステントの有無で比較検討し、血管新生、血管内膜の増生に差があるか病理学的に検討した。 (3)骨髄幹細胞ステントによる脳動脈瘤破裂予防効果の検討:血管内膜を新生した脳動脈瘤は病理学的に破裂予防効果が本当にあるのか検討した。内弾性板の形成や動脈本来の構造と相違する部分があるか比較検討した。
|