研究課題/領域番号 |
21591853
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
横山 高玲 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (00347329)
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研究分担者 |
川原 信隆 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (60214673)
菅野 洋 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (40244496)
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キーワード | 脳虚血 / プレコンディショニング / 虚血耐性 / 全脳虚血 / Caveolin-1 |
研究概要 |
プレコンディショニングとは、臓器に対して細胞死を起こさない程度のストレスを与えることで、その後の致死的ストレスによる臓器障害を軽減させるという一般的な現象である。脳に関しても様々な機序が言われている中で、Caveolin-1という細胞膜構成蛋白が保護機序の一因子として報告されている。in-vivoにおいてこの現象を再現し、機序を解明することが研究目的である。1年目の研究では、wild type mouseにおける虚血プレコンディショニングの神経保護効果を確認するために、(1)致死的虚血群、(2)非致死的虚血群、(3)プレコンディショニング(非致死的虚血刺激)後致死的虚血群の処置条件設定をそれぞれ、(1)12分間の総頸動脈閉塞、(2)3分間の総頸動脈閉塞、(3)3分間の総頸動脈閉塞後24時間再灌流、その後12分間の総計動脈閉塞としたところ、両側海馬の生存神経細胞率が、sham手術(両側総頚動脈剥離のみ)95.2%±3.2%(平均値±標準偏差)、(1)25.8±19.9%、(2)95.9%±2.9%、(3)67.4%±21.3%となり、非致死的虚血刺激によるプレコンディショニングの効果を確認した。今年度はCaveolin-1 KO miceにおいて、この条件下で行ったところ、sham手術で92.4%±1.6%、(1)13.3%±18.4%、(2)89.7%±4.1%、(3)14.3%±20.0%との結果を得た。このことから、Caveolin-1蛋白が欠失しているmiceの海馬において、非致死的虚血刺激によるプレコンディショニングの効果がないことがわかった。更に、Caveolin-1 KO miceの海馬では、神経細胞数自体の減少、神経細胞のlipid raftにおけるneurotrophic receptorの減少、synaptosome内での減少など、高齢のwild type miceとの類似性が認められた。これらから、Caveolin-1蛋白がneuronのagingのコントロールポイントとなる可能性が示唆された。
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