研究概要 |
頸部内頚動脈血栓内膜剥離術時の虚血再潅流におけるフリーラジカル発生機序の検討。 近年我が国では、食生活の欧米化にともない各種動脈硬化性病変有病率が増加している。脳神経外科疾患では、頸部内頚動脈狭窄症が増加し、血栓内膜剥離術を必要とすることが少なくない。頸部内頚動脈血栓内膜剥離術の重要な合併症に、術後過灌流症候群が存在し、これまで我々は、発生するフリーラジカルと術後過灌流及び高次脳機能障害について報告を行ってきた。フリーラジカルについては、MDA-LDL等の代謝産物について検討したが、今回電子スピン共鳴装置にてラジカルの直接検討を行った。各活性酸素種について経時的に解析することにより、虚血再潅流時のフリーラジカル発生機序を検討する。得られた見地から、一連のラジカル反応抑制に有効な内因性及び外因性ラジカルスカベンジャーを模索し、術後合併症の低下を目指した治療法の確立を目標とする。 具体的には、血栓内膜剥離術中に内頚静脈に小児用の中心静脈カテーテルを挿入し頚静脈球に留置し内頸動脈遮断直前,遮断後20分,遮断解除後1分、5分、20分の計5回カテーテルから静脈血を採取した。処理後、直ちに電子スピン共鳴装置を用いて各種ラジカルの測定を行う。スピントラップ剤としてDMPOを用いた。頭蓋内血流の再灌流直後の頸静脈サンプルで、スピンアダラクトの増加を認めた。さらに、ペルオキシナイトライトとNOラジカルの反応産物であるニトロチロシンの解析をすすめ、どのようなレドックスの変動が引き起こされているのかの検討を行っている。
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