研究課題
頭頸部の狭窄性・閉塞性脳血管障害について、これまで我々は、発生するフリーラジカルと術後過灌流及び高次脳機能障害について報告を行ってきた。今回、頸部頸動脈狭窄症に対する内膜剥離中の際に、経頭蓋的超音波法を用い、中大脳動脈の血流及び塞栓子の解析を行った。その結果、内膜剥離術中の意図的高血圧管理は、術中に発生する微小塞栓による新たな脳梗塞発生を防止出来ることが明らかとなった。また、脳循環代謝の状態を正確に把握するにはPET検査が不可欠であったが、国内の稼働台数には限りがあり汎用性に劣ることが問題であった。今回我々は、iomazenil SPECTにより得られたbenzodiazepine receptor binding potential(BRBP)とCBF画像を用いて、PETのOEF画像に相関する新たな解析手法を確立した。これにより国内に広く臨床利用されているSPECT装置を用いて脳代謝画像の取得が可能となった。閉塞性脳血管障害に対し行われたバイパス手術により認知機能改善を示した症例では、SPECTでのbenzodiazepine receptor binding potentialと脳酸素代謝が改善していることを画像状初めて明らかとした。SPECT検査で得られたBRBP画像とCBF画像から新たに脳循環代謝を反映するBRBP/CBF画像の作成を行ったが、頚動脈内膜剥離術において、BRBP/CBF画像が新たな虚血病変の発生や過灌流症候群の発生を予見できうること、また術後認知機能の改善を予見できうることを見いだした。また、iomazenil SPECTの早期像と後期像を用いることで、PECの酸素摂取率画像と相関する新たな脳循環代謝指標を確立した。従来、SPECTで脳循環代謝に関連する指標を得るためには、患者にacetazolamideを投与する必要があったが、この薬剤がもたらす副作用について検討を行った結果、薬を投与した多くの患者において何らかの不具合が発生していた。BRBP/CBF画像、及びiomazenil SPECTの早期像/後期像を用いた新たな脳循環代謝指標を確立できた。acetazolamideを必要としない脳循環代謝測定法が提唱された。
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