研究課題
成体脳における内在性神経幹細胞による神経再生の過程をin vivoにおいて画像化することを目的に,造影効果の強いMnを細胞に取り込ませて画像化するMEMIの手法を発展させて詳細な画像測定を行った.1)高分解能3D-MEMRI測定法を用いてa)ラット正常脳におけるMn造影画像と病理組織切片との精密な比較解析を行った.その結果,正常脳で特に造影効果が著明である海馬周辺領域において,細胞内に分布するMnによるMRIの造影効果が確認された.内在性神経幹細胞が多く存在するとされる海馬や傍側脳室領域では,経静脈的に全身に投与されたMnが脈絡叢から脳脊髄液に入り,最初に脳実質内に入る領域に相当する.この領域で造影される細胞は神経細胞,グリアおよび内在性神経幹細胞が含まれるものと考えられた.さらに,b)ラット実験的虚血モデルにおけるMn造影画像の解析を行った.ラット中大脳動脈閉塞モデルにおいては脳梗塞周辺部にMEMRIにてMnの取り込みによる信号強度の増大を認め,この信号強度の増加した領域は,病理組織学的検討によりGFAP染色にて陽性をしめすグリア細胞(星状神経膠細胞)の増殖領域に一致していた.また,ラット四主幹動脈結紮による一過性前脳虚血モデルにおいては虚血72時間後に海馬のCA1およびCA2領域においてMEMRI上信号増加が確認された.これは虚血損傷部のミクログリアの活性を反映することが示唆された.In vivoにおいてこれらの細胞活動の変化を画像化することが可能となり,今後の研究の基礎として重要な成果であったと考える.
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