研究分担者 |
田中 忠蔵 明治国際医療大学, 医学教育研究センター, 教授 (80163541)
梅田 雅宏 明治国際医療大学, 医学教育研究センター, 教授 (60223608)
渡邉 康晴 明治国際医療大学, 医学教育研究センター, 講師 (90454537)
河合 裕子 明治国際医療大学, 医学教育研究センター, 助教 (90555616)
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研究概要 |
成体脳における内在性神経幹細胞による神経再生(neurogenesis)をin vivoにおいて画像化することを目的として,造影効果の強いMnを細胞に取り込ませて画像化するMEMRIの手法を発展させて3D-MRIによる詳細な画像測定および解析法の確立を試みた。 a) 正常脳におけるMn造影画像の精密な解析:ラット正常脳における3D-Mn造影画像を撮影して精密に解析した結果,Mn投与のよって造影される領域は細胞内に存在するcalbindinやparvalbuminなどのカルシウム結合タンパクの分布と一致することから,Mnは細胞内においてこれらのタンパクと結合して存在し緩和効果を増強することが示唆された. b) 実験的脳虚血におけるMn造影画像の解析:これまで中大脳動脈一過性閉塞モデル(temporary MCA occlusion : tMCAO)において反応性グリア(活性化アストロサイト)の脳梗塞巣周辺への集積の画像化に成功し報告してきた.今回さらに,四主幹動脈結紮による一過性前脳虚血モデルを対象に,虚血後2日,3日,10日後にMEMRIを撮影し,GFAP染色,NeuN染色による組織学的検討を併せて行った.CA1において3日後,10日後にMnによる有意なT1低下が認められた.この所見は,3日後にはGFAP陽性は有意ではないため,蛋白産生の増加やミクログリア活性を反映すると考えられた.10日後には神経細胞の脱落が明らかになるとともにGFAP陽性が有意となり,アストロサイトの活性化を示すものと考えられた.反応性グリアは乳酸産生によるアシドーシス,グルタミン酸取り込み低下,spreading depression,細胞性浮腫の増強,種々のサイトカインの放出などによって神経障害性に作用するとされ,この機能制御による脳梗塞の治療法が期待される.
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