研究課題/領域番号 |
21591865
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
前原 健寿 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (40211560)
|
研究分担者 |
成相 直 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (00228090)
新井 信隆 東京都医学研究機構, 医学(系)研究科, 参事研究員 (10167984)
|
キーワード | てんかん / 海馬 / MRI / FDG-PET / 海馬多切術 / 記銘力 / 手術成績 / 焦点 |
研究概要 |
本年度は器質性病変を有し、さらにMRIで海馬正常、FDG-PETで代謝低下を認めたMRI陰性PET陽性海馬を有する側頭葉てんかん13例を対象とした治療法の有効性を施行した。手術の際には、病巣切除後に海馬白板あるいは海馬傍回から脳波を記録し、年齢も考慮して海馬切除の有無を決定した。海馬多切術導入前後の患者で手術成績および記銘力の温存について検討した。(結果の一部は2010年1月の日本てんかん外科学会で報告した。) 結果としては1)海馬でスパイクを認めず海馬を温存した6例は全例Engel Class Iと良好な成績で、3例で抗てんかん薬を中止できた。2)海馬でスパイクを認めた7例中1例で海馬切除しEngel Class Iと良好な成績であった。高齢なため海馬を温存した2例は1例が多剤併用でEngel Class Iで1例はEngel Class IIIであった。3)海馬多切術施行した4例は全例Engel Class Iと良好な成績で、2例で抗てんかん薬を中止した。4)海馬を温存した8例は術後の記銘力低下を認めなかった。海馬多切術を施行した4例では術2週間目に遅延再生の低下を認めたが、半年、1年後には回復した。このことから器質性病変とMRI陰性PET陽性海馬を有する側頭葉てんかんに対して、海馬多切術は有用な治療となる可能性が示唆された。今後さらに、手術成績および記銘力低下に対する長期追跡を行うことで、MRI陰性PET陽性海馬に対する治療法の確立を目指す予定である。
|