研究課題/領域番号 |
21591866
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
栗本 昌紀 富山大学, 大学病院, 講師 (10161770)
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研究分担者 |
早川 由美子 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 教務補佐員 (30238092)
遠藤 俊郎 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 教授 (70125269)
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キーワード | 悪性グリオーマ / オートファジー / アポトーシス |
研究概要 |
培養グリオーマ細胞株を細胞障害性のある放射線やtemozolomideあるいはcisplatinなどの抗癌剤に暴露させ、その後に生じる細胞死にアポトーシスとオートファジーがどのように関与しているのかを調べた。放射線照射やtemozolomide作用後の培養グリオーマ細胞にHoechst 33258染色を行うと、細胞核の断片化は観察されず、アポトーシスの発生はみられないと判断された。一方、cisplatin作用後の細胞では、Hoechst 33258染色にて細胞核の断片化が観察され、アポトーシスの発生が観察された。またAcridine orangeによる染色を行うと、放射線照射やtemozolomide、cisplatin作用後のいずれの細胞にもオートファジーにみられるオートファゴゾームの細胞質内発生が多数観察された。すなわち培養グリオーマ細胞株においては、放射線やtemozlolomide作用後の細胞死は、オートファジーであるがcisplatinのような薬剤はアポトーシスとオートファジーによる細胞死を同時に生じさせると考えられた。オートファジー阻害薬である3-methyl adenineやbafilomycinで細胞を前処理すると放射線や抗癌剤暴露後にアポトーシスを示す細胞が増えた。一方、アポトーシス阻害薬であると同時にNF-kB阻害剤でもあるpitavastatinの前処理を行うとcisplatin作用後にオートファジーによる細胞死が増えアポトーシスが減少した。すなわちグリオーマ細胞においては、アポトーシスとオートファジーのいずれの細胞死の経路もとりうると言える。アポトーシスとオートファジーの二つの細胞死の分子シグナル伝達経路の間でクロストークが存在している可能性がある。
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