研究課題
本研究では、高度な画像融合技術の開発を目指して、術中の脳変形を伴った画像と、手術前の画像とを融合する技術の開発を行っている。平成21年度は、研究初年度として、以下のような研究を行った。研究ステップ(1):「変形フュージョン」プログラムの中核部分の作成を行った。非剛体レジストレーション手法を用いて格子点を設定して変形操作を行う形とした。MRIT1強調サンプル画像を用いた実験では、画像によっては通常のスタンドアローンのWindowsコンピュータを用いて30分以内に変形が行われ、最終画像生成が可能であることを確認した。研究ステップ(2):生成画像の精度評価を行った。精度評価の過程の中で、重要な問題点として、特に腫瘍摘出術における術中画像では、腫瘍の摘出が行われる結果、腫瘍摘出前の術前画像の単純な変形操作のみでは局所における精度の維持が困難である可能性が示唆された。腫瘍摘出に関する情報を加味することで、さらに精度の向上が得られるか更に検討が必要と考えられた。研究ステップ(3)移行への予備実験:さらに本技術の大きな目的の一つである術中の錐体路の変位予測に関する実験を少数例で試行的に行った。術前T1強調画像に対して、変形の加わった術中T1強調画像へと「変形フュージョン」操作を行った。次いで、この変形フュージョンアルゴリズムを用いて、術前のDTI画像をもとにして、トラクトグラフィーの変形操作を以下の二つの方法で行った。A)あらかじめトラクトグラフィーを術前画像上で行い、これをT1強調画像上へとオブジェクトとして描写する。次いでT1強調画像ベースで変形を行いトラクトグラフィーの変形を得る方法と、B)DTI画像そのものを術中画像へと変形フュージョンし、変形を行ってからトラクトグラフィーを行う方法の二つである。DTI画像は、変形フュージョンを解剖学的な情報のみで行うと、テンソル情報に誤りが生じるため、適切なフュージョンが困難になる場合が存在することが示された。
すべて 2009
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BRAIN and NERVE 61
ページ: 823-834
日本コンピュータ外科学会誌 11
ページ: 308-309