本研究では、高度な画像融合技術「変形フュージョン」の開発を目指して、術中の脳変形を伴った画像と、手術前の画像とを融合する技術の開発を行った。平成24年度は、最終年度として、以下のような研究を行った。 すでに研究ステップ①「変形フュージョン」プログラムの作成および研究ステップ②生成画像の精度評価システムの作成を行い、研究ステップ③変形脳における錐体路の推定(前半)について終了しており、ステップ③変形脳における錐体路の推定(後半)として、定量的な検討を施行、さらにPET画像との融合につき研究を行った。 研究ステップ③(後半):術前のDTI画像をもとにして、トラクトグラフィーの変形操作を次の方法で行った。すなわち、あらかじめトラクトグラフィーを術前画像上で行い、これをT1強調画像上へとオブジェクトとして描写する。次いでT1強調画像ベースで変形を行いトラクトグラフィーの変形を得た。高磁場術中MRIでの手術例6例において、実際に術中に行った錐体路のトラクトグラフィーと、本法による推定とを偏位方向の推定だけでなく偏位量を定量的に評価した。この結果、術前および術中のと楽とグラフィー間の距離は平均6.2ミリであったが、本法の推定によるトラクトを利用することで、平均3.1ミリと統計学的に有意に偏位の減少が得られ、かつ、偏位の推定方向も正しかった。また、PET画像との融合実験においても、術後PETとの整合性のある結果が得られた。本研究成果は国内および国際学会で紹介を行った。
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