研究課題/領域番号 |
21591872
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
井本 浩哉 山口大学, 医学部附属病院, 医員 (80464337)
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研究分担者 |
野村 貞宏 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (20343296)
藤井 正美 山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (90181320)
鈴木 倫保 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80196873)
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キーワード | 難治性てんかん / 凍結 / 定位脳手術 / 海馬 / 凝固壞死 |
研究概要 |
てんかんの有病率は1000人に対し8人と決して稀な病気ではなく、その約20%は難治性のてんかんである。その難治性てんかんに対して、てんかん手術が施行され、なかでも側頭葉てんかんは側頭葉切除術により発作を消失させる事ができるてんかんとしてよく知られている。しかし側頭葉切除術は、術後に記憶障害、言語障害、視野障害(半盲)や精神症状の出現が報告されている。そこで、今後合併症の少ない側頭蘂切除術に変わる新しい低侵襲治療法の開発が望まれる。その方法としてcryosurgery(凍結手術)が考えられる。Cryosurgeryはすでに腫瘍に対するMRIガイド下凍結療法として臨床応用されている。そこで定位的手法を用い海馬・扁桃体を選択的に、安全に凍結凝固させる方法が確立できれば、てんかん焦点(海馬・扁桃体)以外に影響を来さない新しい低侵襲治療法となり得る可能性があると考え研究を行った。 本年度は動物実験を中心に研究を行った。雄Sprague-Dawley rat(350-450g)をハロセン麻酔下で頭頂部に10x9mmの開頭を行い、定位的に直径1mmの凍結用プローブ(先端に温度センサーの設置されたもの)を海馬に刺入した。温度-60℃、時間を20分とし凍結を行った。温度変化率は20℃/秒、凍結後は自然復温とした。復温1時間後または2週間後にラットを断頭し、脳を摘出、凍結海馬の組織学的変化および凍結範囲を検討した(各群n=3)。凍結の急性期変化として小出血と微小血管内血栓、神経細胞の凝固壞死が観察された。周辺部には核濃縮、細胞質縮小、好酸性を伴う暗く縮んだ三角形の神経細胞も認めた。慢性変化として壞死部の空洞化、神経細胞の消失、グリオーシス、炎症細胞の浸潤が観察された。来年度以降は臨床応用できる凍結装置の開発およびてんかん動物を用いた凍結療法の有用性につき検討を行う。
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