研究分担者 |
諸岡 健一 九州大学, システム情報科学研究院・情報知能工学部門実世界ロボティクス講座, 准教授 (80323806)
福田 孝一 熊本大学, 生命科学研究部・形態構築学, 教授 (50253414)
飛松 省三 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40164008)
吉浦 敬 九州大学, 大学病院, 講師 (40322747)
倉岡 晃夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (30253412)
|
研究概要 |
【研究の目的】日本人脳の形態に特化した脳アトラスを作成し,脳神経疾患のテイラーメイド治療に応用できる脳の座標アトラスを開発する。 【研究実施計画および成果】脳疾患のない日本人の脳で完全な連続標本を作成し,全ての可視化脳内構造を3Dマップ化する。これには樹脂包埋を要しない振動刃マイクロスライス技術を用い,一側全脳半球の40個のブロックを作成し,デジタル形状モデルを作成した。また,そのブロックを100μm厚にスライスし、約4400枚のスライス標本を作成した。そのうち1mm間隔でスライスを抽出し,ニッスル染色や髄鞘染色後,スキャナで記録し各切片の組織像を電子化した。その後,脳標本のデジタル組織画像をもとに,線維・神経核・亜核構造の境界をコンピュータで描出し3D化する作業を行っている。同時に正常ボランティア脳の医用画像から,脳表と脳室の輪郭をもとに標準脳モデルを作成ちゅうである。現在作成中の変形アルゴリズムを用いて,標準脳モデルを外郭として組織アトラスを変形し,脳座標アトラスを完成する。 【意義と重要性】現在使用可能な脳座標アトラスは西洋人脳しか存在ない。黄色人種を代表し,日本人による全大脳半球のスライス標本作成・染色,および組織画像を完全デジタル化することにより,三次元的に整合性に富み,日本人に特化した,ヒト脳大脳半球座標アトラスが,完成間近となった。本研究により完全な日本人脳アトラスが完成すれば,パーキンソン病などの定位脳手術において安全・正確な脳アトラスとして応用することができる。
|