研究課題/領域番号 |
21591874
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
秀 拓一郎 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (40421820)
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研究分担者 |
倉津 純一 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (20145296)
中村 英夫 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (30359963)
牧野 敬史 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (90381011)
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キーワード | 癌幹細胞 / 神経膠芽腫 / 培養 / 治療 |
研究概要 |
膠芽腫は最も悪性の癌の一つであり、治療抵抗性で、手術後に放射線・化学治療を行ない、画像上腫瘍が消失していても、多くの場合1年以内に再発する。この治療が困難な神経膠芽腫の新規治療法の確立に向け治療標的の探索が本研究の目的である。神経膠芽腫幹細胞を浮遊培養法で濃縮し、マイクロアレイを用いた遺伝子の発現解析により、神経膠芽腫幹細胞の細分類を行レ、細分類に基づいて治療標的の探索を行なう計画である。また、腫瘍摘出腔周囲からの再発が300例中285例(95%)(自検例)と圧倒的に多く、これは膠腫瘍境界部に治療抵抗性で再発の原因となる膠芽腫幹細胞やニッチが存在することを示唆しており、最終的には膠芽腫の治療標的部位となる。 これまでに、3つの培養条件でヒト神経膠芽腫組織からの癌幹細胞の樹立を行なってきた。2か月間安定して増殖し凍結保存できたものは30症例以上あったが、解凍後再培養しても多くは増殖しなくなり、安定して増殖する膠芽腫幹細胞株は7例樹立できた。これらの細胞株についてはこれからマイクロアレイ解析を行ない、これまでに行なったマウス細胞に遺伝子導入して樹立した膠芽腫幹細胞のマイクロアレイデータから見出した遺伝子を候補遺伝子として細分類を行なう予定である。 また、これまで幹細胞マーカーとして報告されている分子の検討の中で、グリオーマの悪性度と相関し、膠芽腫組織の血管周囲や浸潤先端部で発現が強い分子を組織免疫学的検討で見出した。この遺伝子は癌との関連では今までほとんど報告がない。この血管周囲や浸潤先端部は膠芽腫幹細胞が存在し、幹細胞ニッチを形成している部位と考えられ、治療の標的部位である。この遺伝子については現在解析中である(第13回分子脳神経外科学会で発表予定)。
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