研究概要 |
【はじめに】われわれは下垂体腺腫にCD133陽性細胞が存在することを見出しが、CD133陽性細胞の存在意義について今回、多重免疫染色にてendothelial progenitor cellの可能性があることを突き止めた。【対象と方法】非機能性腺腫45例、GH産生腺腫12例、PRL産生腺腫9例、ACTH産生腺腫3例、TSH産生腺腫1例。光学顕微鏡での形態的解析に加えmicrovascular densityとの相関をみるとともに共焦点レーザー顕微鏡による解析にてCD133陽性細胞がCD34,Nestin,GEAP,Tuj1,S100,VEGFR2、さらにはtranscription factorと共発現しているか否かを解析した。【結果】非機能性腺腫45例中13例(33.3%)、GH産生腺腫12例中2例(16.6%)、PRL産生腺腫9例中1例(11.1%)であり、やや非機能性下垂体腺腫に多い傾向にあった。また、これらの細胞は形態学的に管腔形成を示す傍ら、集簇し存在するものもあった。さらに、CD133陽性細胞はCD34, Nestin, VEGFR2に共陽性を示すも、GFAP,S100に対して陰性であった。一方、Pit1,SF1,NeuroD1によるtranscription factorについての解析ではCD133陽性細胞は全てについて陰性であった。【結論】CD133/CD34/VEGFR2陽性細胞は骨髄から動員されるcirculating endothelial progenitor cellの可能性があり腫瘍組織において新生血管に関与していると考えられていることより、われわれが発見した下垂体腺腫中のCD133陽性細胞もCD133/CD34/VEGFR2陽性細胞として下垂体腺腫に存在し、新生血管に関与しているのではないかと考えられた。
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