研究概要 |
脊髄刺激は経皮的に脊髄硬膜外腔に刺激電極を挿入することが可能であるので、容易に試験刺激を行うことができる。脊髄刺激では、疼痛部に刺激によるparesthesiaを誘発し、非疼痛部にはparesthesiaを誘発しないように電極を留置するのが最良の方法である。しかし、脊髄硬膜外に留置した1本の刺激電極を用いる方法では限界があった。新しく脊髄刺激用に開発されたシナジー刺激装置は、2本の刺激電極を用いたDual-lead Spinal Cord Stimulationが可能となり、電極間の刺激あるいは複数の刺激点を選択することによって、疼痛部位に限局したparesthesiaを誘発するのが容易となった。 Dual-lead SCSの効果をVASの減少率をもとに、Excellent(61-100%のVAS減少),Good(31-60%のVAS減少),Fair(0-30%のVAS減少)に分類すると、Post-stroke painではExcellentが2例、Goodが6例、Fair 4例、Failed-back painではExcellent 1例、Good 2例、Fair 1例、CRPSではExcellent 2例、Good 1例、Phantom limb painではGood 1例、Post-myelitisではGood 1例、peripheral nerve injury 1例ではGood 1例、パーキンソン病に伴う下肢痛ではGood 1例であった。Dual-lead SCSを用いることによって、脊髄刺激の効果を著しく向上させるとともに、これまで適応外と考えられていたPost-stroke pain, Phantom limb pain,パーキンソン病に伴う下肢痛などに対しても効果を確認することができた。
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