細胞極性を制御する分子であるLAP蛋白質について、その細胞運動制御機能や分化と増殖の統御における機能を解析することを目的として、ヒトScribbleと結合する蛋白質を酵母two-hybrid法を用いて探索した。全長Scribbleをbaitとして行ったtwo-hybrid screeningで同定したScribble結合候補蛋白質の中で、p0071について解析を進めた。p0071(別名plakophilin4)は、p120カテニンと相同性を有する蛋白質で、カドヘリンの関与する細胞間接着に関与する分子であると考えられている。p0071はそのC末端にPDZドメイン結合モチーフをもつが、酵母two-hybrid法で、このPDZ結合モチーフを介してScribbleのPDZドメインと結合することが確認された。細胞に強制発現したScribbleを免疫沈降すると、内在性のp0071が共沈した。さらに、MDCK細胞における細胞免疫染色で、Scribbleとp0071の共局在が認められた。興味深いことに、Scribbleの発現をRNA干渉法にてノックダウンすると、p0071の発現量が増加した。また、同様に、Scribbleの発現をRNA干渉法にてノックダウンし、免疫染色を行うと、p120カテニンと相互作用が報告されている転写因子の一種であるKaisoが、細胞内より核内に移行する傾向が認められた。一方、ERBINのLeucine rich repeatsドメインをbaitとして行ったtwo-hybrid screeningでERBIN結合候補蛋白質として同定したOdinについて解析を行った。最終的に、Odinに対する抗体を作製し、内在性のERBINとOdinが結合するかを検討したが、結合は認められなかった。また、作製した抗体を用いて行った細胞免疫染色でOdinは、細胞免疫染色でERBINの存在する細胞間接着部位には存在せず、一部は、細胞-基質間接着部位に存在した。
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