研究課題/領域番号 |
21591893
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
原 慶宏 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00422296)
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研究分担者 |
茂呂 徹 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (20302698)
石原 一彦 東京大学, 工学系研究科, 教授 (90193341)
竹下 克志 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30262009)
三浦 俊樹 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20376479)
金野 智浩 東京大学, 工学系研究科, 助教 (80371706)
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キーワード | 脊椎外科手術 / 硬膜周囲癒着防止材 / MPCポリマー |
研究概要 |
脊椎手術後の硬膜周囲癒着を防止する材料の候補として、2-methacryloyloxyethyl phosphorylcholine(MPC)ポリマーに着目した。本研究では、このMPCを基盤として2液混合型の生体内解離性ハイドロゲル(PMBV/PVAゲル)の癒着防止材を創案し、PMBV/PVAゲルを脊椎手術における硬膜癒着防止材として実用化するための基礎検討を完成させることを目的とした。平成21年度の研究ではPMBV/PVAゲルが形成時の混合比を変化させることで力学特性に変化を持たせられること、および解離過程の制御が可能であること、PMBV/PVAゲルは三次元ネットワーク構造を形成しており、癒合に必要なサイトカインをはじめとする液性因子の透過を期待できること、PMBV/PVAゲルは、ラットへの埋埴後、異物巨細胞の出現も認められず、極めて高い生体親和特性を発揮すること、が明らかとなった。また、ラット脊椎硬膜外癒着モデルを確立し、癒着の評価方法の検討を行ったところ、確立した癒着モデルおよび硬膜周囲癒着の評価方法が適切であることを確認した。続いてPMBV/PVAゲルの被覆による硬膜周囲の癒着防止効果についての実験を行った。PMBV/PVAゲルで硬膜周囲を被覆した群では、コントロール群と比較し、硬膜周囲の瘢痕形成が抑制されていた。また、神経学的評価ではPMBV/PVAゲル群とコントロール群において有意な差はなく、神経障害の可能性を示唆する所見は見られなかった。今年度の研究の結果から、PMBV/PVAゲルは脊椎硬膜周囲の瘢痕形成を抑制し、癒着を防止することが示唆された。また、ラットの神経を傷害する可能性を示唆する所見は見られなかった。しかしレオメーターシステムを使用した硬膜-椎体破断張力の測定においては有意な差はみられず、これは測定方法に限界があるためと考えられた。
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