研究課題
今年度は、移植細胞の足場となるハニカムコラーゲン(HC)を用いたin vitroとin vivo実験を行った。in vitroでは、ラット後根神経節(DRG)をHC上においてGFP標識した骨髄由来幹細胞と共培養した。DRGからHCの気孔内を伸長する神経突起の長さを計測した。10日後にHCをDRGとともにマイクロスライサーで薄切し、免疫染色を用いてHC内を観察した。HC内を伸長する神経突起が認められ、突起周囲にGFP標識細胞が集積していた。DRGからの突起は、対照群(細胞なし群)と比較すると骨髄細胞によって2.5倍促進されていた。現在、D15A導入幹細胞でも神経突起の伸長とHC内での細胞分化について解析している。in vivo実験では、ラット脊髄右半側3mmの欠損を作製し、欠損のみ(欠損群)とHC移植群を作製した。移植後、運動・知覚機能検査を定期的に行い、4週後に還流固定をしてHCとホスト脊髄との親和性を組織学的に検討した。後肢運動機能評価法では、欠損群では見られなかった前肢と後肢の協調運動がHC移植群で観察された。知覚検査では、HC群に知覚過敏を認め、HC内での知覚神経の再生が促進されている可能性が示唆された。組織学的には、HCを含む水平断切片を作製して評価した。HCの一部が移植4週でも残存していて気孔内に神経線維マーカーであるニューロフィラメント陽性線維を多数観察することができた。移植HC内では、再生神経線維が多数存在し、今後、神経幹細胞移植によって線維数の促進が見込まれる。同時に、血管クリップを用いたラット脊髄損傷モデルの作製を行っている。損傷慢性期でのHC移植に向けて空洞の大きさを定量化し、適合性のよいHCの作製に着手している。
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Neuroscience Letters
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Spine
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http://www.tmd.ac.jp/med/orth/orth-J.html