研究課題
(1) 頸椎後縦靱帯骨化症(OPLL)、胸椎黄色靱帯骨化症(OLF)の手術時に採取した組織について、骨化形態別に骨化進展様式の特徴を病理組織学的に検討した。OPLL、OLFともに骨化巣の増大に伴い骨化前線部の拡大、石灰化前線の不整化・延長が著明となり、石灰化前線の周囲には軟骨細胞が密に集族していた。この石灰化前線近傍は細胞活性が高いことが示唆され、さらに未分化間葉系細胞と軟骨細胞における分化、脱分化の過程が転写因子を介して制御され、成熟した軟骨細胞は種々のサイトカインを発現し、基質への血管進入と石灰化の促進をもたらし、骨形成が誘導されると考えられた。(2) (1)の実験系をさらに発展させるために、採取した靭帯から遊走させて得た培養靭帯細胞の生物学的特徴について解析した。培養靭帯細胞にFlexercell FX-3000を用いて機械的ストレスをかけ、免疫組織化学染色およびreal time RT-PCR法にて評価した。骨化前線部においてβ-catenin、Sox9の発現は間葉系細胞、増殖期軟骨細胞に強陽性であった。Runx2、TGF-βは増殖期・肥大軟骨細胞に広範に発現していた。培養骨化靱帯では、β-catenin、Sox9、Runx2のmRNA発現量は非骨化靱帯と比較して有意に高値であり、機械的ストレスを加えることで発現量はさらに上昇しており、この異常発現状態が持続することは骨化形成に重要な因子の1つであると考えられた。
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BMC Neurosci
巻: 11 ページ: 84
Journal of Orthopaedic Research
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