研究概要 |
これまでビスフォスフォネート製剤が関節軟骨や椎間板組織に及ぼす影響については全く検討されていない。一方、これまで軟骨変性によって発症する変形性関節症は関節痛、椎間板変性は腰痛や背部痛の原因として広く知られており、骨粗鬆症を生ずる年代では軟骨変性や椎間板変性を合併していることが多い。本研究ではビスフォスフォネート製剤が関節軟骨細胞や椎間板細胞の代謝に対してどのような影響を及ぼすかを検討し、これら軟骨組織の変性予防及び再生に有用な薬剤であるかどうかを検索する。アルジネートビーズシステムを用いて関節軟骨及び椎間板髄核細胞を3次元培養し、アレンドロネート(0[コントロール],10^<-12>,10^<-10>,10^<-8>,10^<-6>,そして10^<-4>mol/L)添加後の細胞代謝活性の変化を観察した。その結果、関節軟骨のプロテオグリカン合成能は濃度が10^<-8>mol/Lのアレンドロネートで最も高値を示し、コントロールに比し約1.3-1.5倍のプロテオグリカン合成能の増加が見られた。また、椎間板髄核細胞でもアレンドロネート濃度が10^<-8>mol/Lでプロテオグリカン合成能が最も促進し、コントロールに比し約1.5-2.0倍のプロテオグリカン合成能の増加が見られた。これらの結果を踏まえ、現在、アレンドロネート(10^<-8>mol/L)添加後の細胞代謝活性が変形性関節症や椎間板変性下でみられる低浸透圧下でどのような影響を受けるかを検索中である。
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