研究概要 |
これまでビスフォスフォネート製剤が関節軟骨や椎間板組織に及ぼす影響については全く検討されていない。一方、これまで軟骨変性によって発症する変形性関節症は関節痛そして椎間板変性は腰痛や背部痛の原因として広く知られており、骨粗鬆症を生ずる年代では軟骨変性や椎間板変性を合併していることが多い。本研究ではビスフォスフォネート製剤が関節軟骨細胞や椎間板細胞の代謝に対してどのような影響を及ぼすかを検討し、これら軟骨組織の変性予防及び再生に有用な薬剤であるかどうかを検索する。平成21年度は、アルジネートビーズシステムを用いて関節軟骨及び椎間板髄核細胞を3次元培養し、アレンドロネート(0[コントロール], 10^<-12>, 10^<-10>,10^<-8>, 10^<-6>,そして10^<-4>mol/L)添加後の細胞代謝活性の変化を観察した。その結果、関節軟骨および椎間板髄核細胞の乳酸産生量、グリコサミノグリカン(GAG)産生量、そしてプロテオグリカン合成能が10^<-8>から10^<-10>mol/Lのアレンドロネート濃度で高値を示すことを明らかにした。変形性関節症や椎間板変性下では、プロテオグリカンの減少により浸透圧が低下することが知られている。よって本年度は、アレンドロネート(10^<-8>mol/L)添加後の細胞代謝活性が変形性関節症や椎間板変性下でみられる低浸透圧(270m0sm)下でどのような影響を受けるかを正常の関節や椎間板内でみられる400m0smの浸透圧下での培養群と比較した。その結果、低浸透圧下では関節軟骨および椎間板髄核細胞の乳酸産生量、グリコサミノグリカン(GAG)産生量、そしてプロテオグリカン合成能はアレンドロネート(10^<-8>mol/L)添加群で高い傾向がみられたが、その増加率は400m0sm下で培養した群に比し少なかった。
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