我々が考案した環椎後弓スクリューは、比較的十分な引き抜き強度を有することが今までの成果で明らかとなり、強度不安定性を有する環軸椎亜脱臼症例に対する臨床応用を始めている。すでに、十例以上の臨床応用を重ね、現在まで合併症を併発することなく、その主訴である後頚部痛も明らかに軽減しすべて順調な経過を辿っている。初期症例ですでに骨癒合が得られた症例も出てきており臨床的にも、既存の環椎外側塊スクリュー刺入法と同じく、我々が考案した環椎後弓スクリューの有用性が明らかとなった。このスクリュー刺入法を用いることで、致死的合併症となりうる椎骨動脈損傷や内頚動脈損傷を根絶しうる。基礎データとして、トランスバースコネクターを使用すると力学強度が増強すること特に回旋抵抗力が増強することが明らかとなった。また、椎骨動脈走行異常、いわゆるhigh-riding VAと呼ばれる走行異常に対しては、軸椎椎弓根スクリュー刺入は、できうる限り背側、内側方向への刺入経路が安全であることが明らかとなった。環椎外側塊スクリュー引き抜き強度と環椎外側塊骨密度との関係に関しては相関を認め、骨密度が脆弱であると引き抜き強度は弱いことが明らかとなった。また、外側塊スクリュー後弓刺入法と直接刺入法および後弓スクリューとの関係は、直接刺入強度と後弓スクリューとの合計値が後弓刺入法強度におおむね近い値となっていることがわかった。また、現在までに臨床応用を重ねたデータから環軸椎固定術を行った症例群では後頭環椎関節の関節面変化が生じることが明らかとなった。
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