研究課題/領域番号 |
21591906
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
男澤 朝行 帝京大学, 医学部, 講師 (60375706)
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研究分担者 |
豊根 知明 帝京大学, 医学部, 教授 (10407918)
大鳥 精司 千葉大学, 医学部付属病院, 助教 (40361430)
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キーワード | 難治性疼痛 / 内因性オピオイド / 体外衝撃波 / 遺伝子導入 / 神経障害性疼痛 / 椎間板性腰痛 / proopiomelanocortin / 炎症性疼痛 |
研究概要 |
通常の痛み止めが無効である難治性疼痛疾患に対してはモルヒネなどのオピオイドが使用されるが、モルヒネは強力な鎮痛作用を持つ一方その副作用が問題となる。脳内モルヒネとよばれ内因性オピオイドであるβエンドルフィンは強力な鎮痛作用を持ち副作用は全く無いが、生体内での代謝が早いため臨床応用されていない。そこで、βエンドルフィンの前駆体proopiomelanocortin(POMC)を体外衝撃波(RSW)を使用する事により遺伝子導入を行い、長期間にわたり副作用なく強力な鎮痛作用を得ることを目的とした。 まずin vitroでSDラット筋線維細胞を作り、POMCを添加、放射状体外衝撃波(RSW)照射により遺伝子導入を行った。その結果、比較的効率よく遺伝子導入が可能であることと有効な照射条件が見出された。次にin vivoで左腓腹筋にPOMCを筋注、同部位にRSWを照射し遺伝子導入を行った。導入局所の筋線維においてβエンドルフィンの発現を認め、また、心臓血採血により血液中エンドルフィン濃度をELISA法で定量したところ有意な上昇を認めた。前駆物質であるPOMCの投与とRSW照射によってin vivoでのエンドルフィンの発現が確認された。 上記を踏まえ以下の実験を計画した。ラット足背にComplete Freund's Adjuvant(CFA)を皮下注した炎症性疼痛モデル、またラット坐骨神経にchronic constriction injury model(CCI)を用い部分神経損傷を作成した神経障害性疼痛モデル、さらにラット腰椎椎間板を穿刺した腰椎椎間板障害モデルを作成した。モデル作成後、von Frey testとCatwalkを用いて行動学的評価を行った。さらに灌流固定ののち後根神経節と脊髄腰膨大部、疼痛ペプチドのマーカーCGRPで免疫組織化学染色を行った。また、飲水量、食事量、排便量を測定し、便秘等の副作用の有無を調べた。 行動学的評価ではラットの疼痛行動が抑制され、後根神経節でのCGRP陽性細胞は有意に減少した。POMCの遺伝子導入により、長期間にわたり副作用なく強力な鎮痛作用が得られる可能性が示唆された。現在我が国の高齢化に伴い慢性腰痛などの難治性疼痛患者は増加していると考えられ、今後の新たな治療法となりうると考えている。将来的な臨床応用を目指してさらに基礎実験を重ねていく予定である。
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