研究課題/領域番号 |
21591919
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
瀬戸口 啓夫 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (40423727)
|
研究分担者 |
永野 聡 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (50373139)
小宮 節郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30178371)
|
キーワード | 横紋筋肉腫 / 肉腫幹細胞 / Fibroblast growth factor receptor 3 |
研究概要 |
A. 研究目的 がん幹細胞は、腫瘍の再発や転移のメカニズムの一端を担っていることが示唆されており、がん幹細胞を標的とした治療法の開発は不可欠である。がん幹細胞を標的とした治療の確立にはがん幹細胞の単離精製が必要であるため、我々は骨軟部悪性腫瘍細胞において、がん幹細胞様の性質を持つ細胞集団の同定法の開発と解析を行った。 B. 研究方法 骨軟部肉腫細胞株を表面マーカーを用いて腫瘍形成能力が高いSarcoma-initiating cellの分離方法を開発し、遺伝子発現やSarcoma-initiating cellの維持・増殖に関与する因子を検討した。(倫理面への配慮)患者は個人を特定出来ないようにした。 C. 研究結果 ヒト横紋筋肉腫細胞株であるKYM-1とRDからFibroblast growth factor receptor 3 (FGFR3)陽性で腫瘍形成能力が有意に高いRhabdomyosarcoma-initiating cells (RICs)の分離を可能とした。驚いたことにこのFGFR3陽性のRICsは1個の細胞をヌードマウスの皮下に移殖した際にも腫瘍形成能力を示した。またRICsは定量的PCRで未分化細胞マーカーを高発現しており、一方で分化マーカーの発現は低下していたことより正常幹細胞様の性質を持っていることが明らかとなった。無血清培地でこの細胞株を培養するとはbFGFがRICsの維持・増殖に必須の因子であった。またCNTFを培養液に加えると、SICの割合が著明に減少することが示された。この骨軟部肉腫の患者の組織でのFGFR3の発現を検討したところ定量的RT-PCRでFGFR3は患者腫瘍組織中で高発現していることが確認された。また免疫染色において患者組織の一部の細胞がFGFR3をheterogeniousに発現していることが示された。 D. 考察 今回、我々は横紋筋肉腫の細胞株を用いてSarcoma-initiating cellsを精製することを可能とした。この手法はがん幹細胞をターゲットとした骨軟部悪性腫瘍治療法の開発に有用であると考えられる。 E. 結論 現在、この手法を用いて精製したRhabdomyosarcoma-initiating cellsのキャラクターを解析することによりがん幹細胞特異的新規治療法開発を目指す。
|