研究課題
A がん幹細胞は、腫瘍の再発や転移のメカニズムの一端を担っていることが示唆されており、がん幹細胞を標的とした治療法の開発は不可欠である。我々は骨軟部悪性腫瘍細胞において、腫瘍幹細胞の同定と解析を行った。B. 研究方法骨軟部肉腫細胞株を表面マーカーを用いて腫瘍形成能力が高いSarcoma-initiating cell (SICs)の分離方法を開発し、遺伝子発現やSICsの維持・増殖に関与する因子を検討した。(倫理面への配慮)患者は個人を特定出来ないようにした。C. 研究結果ヒト横紋筋肉腫細胞株であるKYM-1とRDからFibroblast growth factor receptor 3 (FGFR3)陽性で腫瘍形成能力が有意に高いSICsの分離を可能とした。驚いたことにこのFGFR3陽性のSICsは1個の細胞をヌードマウスの皮下に移殖した際にも腫瘍形成能力を示した。またSICsは定量的PCRで未分化細胞マーカーを高発現しており、一方で分化マーカーの発現は低下していたことより正常幹細胞様の性質を持っていることが明らかとなった。Hedgehogシグナルはがん幹細胞の維持・増殖に関与していることが報告されている。我々は骨肉腫や横紋筋肉腫などの骨軟部腫瘍の増殖にHedgehogシグナルが関与しており、Hedgehogシグナルを阻害すると骨軟部腫瘍の増殖を抑制可能なことを見いだした。D. 考察我々は横紋筋肉腫の細胞株を用いてSarcoma-initiating cellsを精製することを可能とした。今回はHedgehogシグナルと骨軟部腫瘍増殖メカニズムとの関連を明らかとした。現在、Hedgehogシグナルの骨軟部腫瘍幹細胞への関与を検討中である。この手法はがん幹細胞をターゲットとした骨軟部悪性腫瘍治療法の開発に有用であると考えられる。E. 結論骨軟部腫瘍における腫瘍幹細胞やHedgehogシゲナルとの関連の研究は新規治療法の開発に有用である吉判断する。
すべて 2011 2010 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
The Journal of Pathology
巻: 224 ページ: 169-79
doi:10.1002/path.2880
PLoS ONE
巻: 6(1) ページ: e16234
International Journal of Oncology
巻: 36 ページ: 817-822
http://www.kufm.kagoshima-u.ac.jp/~orthop/group%20kotunanbusyuyou.html