再構築現象による腱マトリクスの力学的特性の変化は非常に重要なため、引っ張り試験を行って、その結果を膝蓋腱内のアポトーシス現象と比較するために、特に腱微細構造への影響の評価のため、力学材料試験装置を用いて、除負荷された膝蓋腱全体の力学特性を評価した。実験には日本白色家兎20羽を用いた。右膝蓋腱に対して除負荷処置を行ない、左膝蓋腱には何も処置を施さず正常対照とした。無作為に2群に分け、I群は除負荷処置のまま新たな処置を加えず、II群では除負荷処置後すぐに除負荷ワイヤーを切断しSham手術とした。手術後1、2週で各群とも5羽ずつ屠殺し、膝蓋腱の力学特性の評価を行った。術後1週では、腱全体の断面積の平均(mm^2)は、I群は17.2、II群は14.8、破断強度の平均(N)は、I群は603、II群は948であった。術後2週では、断面積の平均(mm^2)は、I群は22.5、II群は14.4、破断強度の平均(N)は、I群は422、II群は843であった。両群間には各時期において有意差を認めた(p<.05)。既に前年度の研究で除負荷が膝蓋腱線維芽細胞に早期(1日)にアポトーシスを引き起こすことが明らかになっており、アポトーシスと力学特性の変化に何らかの関与が示唆されたが、さらに早期の力学特性の変化とともに腱微細構造の力学的特性の変化を検討する必要がある。
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