研究概要 |
【方法】 前年度報告した再置換術の際の組織採取,新鮮凍結切片の作製に従って,感染性人工関節周囲組織,非感染性弛緩人工関節周囲組織,変形性関節症(OA)の滑膜組織を採取し,新鮮凍結切片を作製した.Alexa fluorescent systemを用いてマクロファージマーカーCD68,好中球マーカーCD15とTLR2,TLR4,TLR5,TLR9との共局在を,蛍光二重染色法にて免疫組織学的検討を行った. 【結果】 非感染性人工関節の骨-インプラント境界組織と再生した関節包では,局所的に集簇したマクロファージと滑膜細胞にCD68とTLR2,TLR4,TLR5,TLR9の共局在が認められた.感染性弛緩人工関節周囲の滑膜組織では,おもに多形核細胞にCD15とTLR2,TLR4,TLR5,TLR9の共局在が認められた.変形性関節症の滑膜組織では,多形核細胞の浸潤が認められ,ほとんどがCD15陽性細胞であった.細胞質に富む単核細胞浸潤が認められ,ほとんどがCD68陽性細胞であった.OAの滑膜組織ではCD68陽性マクロファージとTLR2,TLR4,TLR5,TLR9の共局在がわずかに認められた. 【考察】 感染性人工関節周囲組織ではおもにCD15陽性多形核細胞浸潤が,非感染性人工関節周囲組織ではおもにCD68陽性マクロファージ浸潤が認められ,共にTLR2,TLR4,TLR5,TLR9との共局在が確認され感染性と非感染性の組織では浸潤細胞が異なっていることが示された.これら2種類の組織は明らかに変形性関節症とは異なっており,それぞれの細胞におけるTLRを介した反応経路が病態形成に関与している可能性が示唆された.
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