すでに我々は、骨芽細胞に特定のmiRNAを過剰発現することで骨芽細胞の分化が低下すること、さらに、骨芽細胞特異的にmiRNAを過剰発現したトランスジェニックマウスの骨量が著明に減少することを見出していた。そこで、本研究では、骨芽細胞特異的miRNAトランスジェニックマウスを組織学的に検討するとともに、骨細胞におけるmiRNAの発現を検討し、また骨細胞特異的miRNAトランスジェニックマウスモデルを作成、解析することを通じて、骨リモデリングにおけるmiRNAの生理的意義の統合的理解を目指した。まず、C2C12細胞においてBMPにより発現が減少するマイクロRNA206に注目した。初代培養骨芽細胞においてマイクロRNA206の発現は分化の進行に伴って次第に減少した。また、マイクロRNA206の過剰発現により骨芽細胞分化が抑制された。さらに、データベースを用いた検索によりin silicoでのマイクロRNA206の標的遺伝子候補としてコネキシン43を見出し、実際に骨芽細胞を用いてin vitroでもマイクロRNA206の過剰発現により標的遺伝子の発現が減少することを確認した。さらにマイクロRNA206を発現するトランスジェニックマウスでは量が減少することを見出した。こうしてマイクロRNAが個体レベルで骨芽細胞分化の調節因子であることを明らかにした。このように当初計画通り、実験は順調に進行している。
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