研究課題
まず、ミニブタ(Mexican Hairless Pig ; MHP)から滑膜由来の間葉幹細胞(MSC)を採取し、増殖した後凍結保存した。それらの細胞はウサギ由来・ヒト由来と同様に、コロニー形成能を有し、約1年間増殖し続ける能力があり、また多分化能も有していた。さらには骨髄・骨膜・脂肪・筋肉由来のMSCに比し有意に優れた軟骨分化能を有していた。続いてMHPの両膝の荷重部に8x8x2mmの骨軟骨欠損を作成し、細胞治療を試みた。右膝に平均3.4x10^7のMSCを、左膝は対照群としてPBSを骨軟骨欠損部に滴下し、特別な固定は行わず、10分間静置するのみで処置した。移植後1週の組織学的所見では、移植細胞が十分量接着していることを確認した。1ヶ月目では肉眼上も組織学的にも両群に有意差を認めないが、2ヶ月目以降から関節鏡所見上も差が出はじめ、3ヶ月目には組織学的所見上も有意にMSC治療群に良好な軟骨再生が得られていることを確認した。また、関節鏡所見・肉眼的所見上、MSC治療群では対照群に比し炎症反応が抑制されており、関節症性変化も抑制されていたことから、MSCの関節炎抑制作用が示唆された。また、細胞治療試験を行った全例においてdGEMRIC法、T2 mapping法にて評価を行った。dGEMRIC法での評価は比較的軟骨再生過程を反映していることが分かったが、T2 mapping法は種々のパラメータが加わるため軟骨再生評価には不適であると考えられた。我々が行っている臨床治験とほぼ同じ条件(膝関節荷重部の軟骨欠損、内・外固定なし)で行っていることに意義があり、また経時的に修復を観察することによって本治療法の適切な後療法の検討を行うことができると考えられる。ヒトでも一定の成果を上げているため、今後はより効率良く、より簡便に本治療法の効果を向上させる方法(薬剤等)を開発することが課題である。
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