研究概要 |
1, 出生直後のC57BL/6マウスの肋軟骨から、enzyme digestionののちに軟骨細胞を採取し、単層培養し、60~80%コンフルエントの細胞を一度だけ継代し、ふたたび培養皿にまいた。これにSDF-1のリコンビナントタンパクないしTF14016を加え、その遺伝子発現の変化を調べたところ、SDF-1はtype IIおよびtype X collagenの発現を上昇させ、またTF14016はそれらを抑制することがわかった。しかしSOX9の発現に変化は認められなかった。 2, mouse chondroprogenitor cell lineであるATDC5細胞を培養して分化を誘導し、これにSDF-1のリコンビナントタンパクないしTF14016を加え、その遺伝子発現の変化ないし分化に対する影響をalcian blue染色で調べた。14日間の培養において、controlの細胞はtype IIおよびtype X collageの発現上昇を認めた。SDF-1を継続して加えた群においても、同様の発現上昇を認め、controlとの間に差異は認められなかった。 3, 以上のことから、軟骨細胞において、SDF-1はtype X collagenの発現を上昇させ、軟骨細胞の肥大化に寄与していることが推察される。関節軟骨においては、これは関節軟骨を変性させるシグナルとして働いていることが示唆される。
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