研究概要 |
本研究は、関節リウマチ滑膜を構成する綿維芽細胞様滑膜細胞(F型/B型)とマクロファージ様滑膜細胞(M型/A型)それぞれにおける、DcR3のアポトーシス抑制作用とリガンド作用、を検討し、滑膜細胞の種類の相違が、DcR3を介した増殖とFas誘導性アポトーシスに及ぼす相違についてin vitroのレベルで明らかにして、DcR3の発現と細胞増殖の変化を明らかにすることを目標としている。 本年度、我々は、DcR3が、_デコイレセプターとしてFas誘導性アポトーシスを抑制しているとともに、細胞接着分子、特にVLA4の発現を促すことにより抗アポトーシス作用をもたらすことを明らかにして、論文にて発表した。また,関節リウマチ患者の血清中DcR3が健常者と比して高値であることも明らかにして、論文にて発表した。 DcR3はTNFレセプターファミリーの中では、比較的最近にかなって同定された分子であることから、まだ、その機能ば十分に解明されておらず、RAと関連づけてのDcR3の滑膜細胞における機能解析は我々の以前の報告を除いて無かった。そのため、マクロファージ様滑膜細胞やマクロファージ系細胞株は、線維芽細胞様滑膜細胞と比較して、類似した反応性をDcR3に対して示す可能性が高いと予想されていたが、全く違った結果を示す可能性も否定できなかったことから、類似した結果を実証したことは、大いに意義があると考えられた。DcR3はおとりレセプターとしてだけではなくVLA4発現の誘導により細胞間接着に関与することによっても、RAの病態に関与していることが示唆され、DcR3を介した新しいRA治療への可能性が示された。
|