• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2010 年度 実績報告書

高脂血症薬(スタチン)を用いた、変形性関節症に対する治療の試み

研究課題

研究課題/領域番号 21591949
研究機関九州大学

研究代表者

松田 秀一  九州大学, 医学研究院, 准教授 (40294938)

キーワード変形性関節症 / 関節軟骨 / 高脂血症薬
研究概要

高脂血症治療薬であるスタチンを関節内に注射することによって関節軟骨の変性を抑制できることを、家兎を用いて検討を行った。両膝前十字靭帯切離を施行した日本白色家兎32羽を用いて、片側の膝関節にスタチンを関節内投与し、対側の膝関節には生理食塩水のみを投与しコントロール群として比較した。関節内投与を週に1回、計6回行い、組織学的、免疫組織学的、生化学的に評価した。結果としては、コントロール群の膝では、軟骨の完全な欠損や中等度から高度の軟骨細胞の消失、サフラニン0での染色低下などの柔道の軟骨変性を認めた。一方、メバスタチンを関節内投与した群では、コントロール群と比較して、組織学的な軟骨変性は軽度であり、軟骨変性抑制効果を認めた。
またスタチンが滑膜細胞におけるMCP-1およびMMP-3の産生を抑制するか、in vitroでの実験を行った。家兎の滑膜細胞において、メバスタチン0,1,10,50μM含有のメディウムで前処置の後IL-1βを加え、MCP-1およびMMP-3の遺伝子発現、蛋白生成をRT-PCR、ELISAでそれぞれ評価した。50μMのメバスタチンの群で、MCP-1とMMP-3の遺伝子発現が抑制されており、蛋白生成も有意に抑制されていた。またヒト変形性関節症の滑膜細胞において、50μMのシンバスタチンで前処置を行った後IL-1βを加え、FFPおよびGGPPを添加することによるMCP-1の変化を計測した。シンバスタチンによるMCP-1の抑制効果は、FFPを添加しても抑制されたままであったが、GGPPを添加することで抑制がかからなくなった。さらに、RhoA kinase inhibitor(Y27632)の添加による前処置の後IL-1βを加え、MCP-1の変化をELISAで計測した。RhoA kinase inhibitorを添加したものでは、MCP-1は濃度依存性に抑制された。IL-1β刺激による変形性関節症滑膜細胞において、スタチンは、プレニル化、特にゲラニルゲラニル化の過程を阻害することによってMCP-1およびMMP-3を抑制することが可能であった。本研究より、Rho/Rho kinase経路の抑制が、スタチンによるMCP-1、MMP-3の抑制過程に関係している可能性が考えられる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Posterior Displacement of the Tibia Increases in Deep Flexion of the Knee Joint.2010

    • 著者名/発表者名
      Fukagawa S, Matsuda S, et al
    • 雑誌名

      Clin Orthop

      巻: 468 ページ: 1107-1114

    • 査読あり
  • [学会発表] ADRCを用いた骨軟骨再生2011

    • 著者名/発表者名
      中山功一、松田秀一, 他
    • 学会等名
      第24回軟骨代謝学会
    • 発表場所
      福岡市
    • 年月日
      2011-03-05
  • [学会発表] Il-1β刺激滑膜細胞において、スタチンはイソプレノイドの合成を阻害することでMCP-1とMMP-3の産生を抑制する2011

    • 著者名/発表者名
      川原慎也、松田秀一, 他
    • 学会等名
      第24回軟骨代謝学会
    • 発表場所
      福岡市
    • 年月日
      2011-03-04
  • [学会発表] 変形性膝関節症治療のup-to-date2010

    • 著者名/発表者名
      松田秀一
    • 学会等名
      第67回 DOC研究会
    • 発表場所
      福岡市
    • 年月日
      2010-09-02

URL: 

公開日: 2012-07-19  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi