研究課題/領域番号 |
21591950
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
弦本 敏行 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60304937)
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研究分担者 |
米倉 暁彦 長崎大学, 長崎大学病院, 助教 (20380850)
梶山 史郎 長崎大学, 長崎大学病院, 助教 (90418822)
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キーワード | 関節液 / 変形性関節症 / 関節リウマチ / 石灰化 |
研究概要 |
学内倫理委員会において了承されたインフォームド・コンセントに従って患者28名(変形性膝関節症10名、関節リウマチ9名、コントロール9名)より関節液を採取し、以下の検討を行った。(1)phメーターを使用して各関節液のPhを測定した。(2).関節液約0.2mlをカバーグラス上に滴下し、緩徐に蒸発させてその辺縁に集まる微小粒子の走査電子顕微鏡像を取得した。(3).走査電顕下に存在が確認された微小粒子に対して、それらを構成する元素分析を実施した。(4).Zetasizer Nano (Malvern)を使用して、各関節液に含まれる1nm~1000nmの大きさの微細粒子の含有率を測定した。各関節液滴の辺縁部には1000nm以下の微小粒子が存在することが確認された。元素分析の結果、これらはCaとPを多く含み、リン酸カルシウムからなる微小粒子であることが示唆された。さらに、その粒子の大きさは、10nm以下、10~100nm、100~1000nmにピークをもつ多様な粒子の集合体であることが示された。生体内に発生する石灰化粒子は、アルカリ性環境下において成長傾向が大きいと考えられているが、ph計測結果から変形性関節症患者の関節液のphが高い傾向が示された。 われわれは、変形性関節症が何らかの機序で発生した関節液中のリン酸カルシウム微小粒子の存在下に発生、進行するという仮説を形成するに至ったが、今回の研究結果はこれを支持するものであった。現在、生体内の石灰化機構に関してはいまだ不明な点が多く、その解明が待たれているが、われわれの一連の研究はその解明に貢献できるものと考えられる。
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