これまでに我々は、本プロジェクトにおいて、軟骨欠損修復部に動員され修復に関与する細胞の由来、性質を、GFPラットと野生型ラットのパラバイオシスラットを使って経時的に解析した。その結果、骨軟骨欠損修復過程初期において、末梢血からの細胞が欠損部に集積することを明らかにした。さらにこの結果に基づき、本プロジェクトにおいて、骨髄を刺激するgranulocyte colony stimulating factor(G-CSF)を150μg/kgで5日連続でラットに投与すると、末梢血中の有核細胞数が3日目から6日目まで増加すること、その時点でラット膝関節に直径2mm、深さ2mmの骨軟骨欠損を作成すると、骨軟骨欠損修復が促進は軽度であることを明らかにした。さらに良い修復を得るための方法が必要である。 そこで今年度、我々は、G-CSFの投与方法を変え、150μg/kgを2週間投与すると、末梢血中の有核細胞数を3日目から14目目までさらに大きく増加させる効果があることを明らかにした。その時点でラット膝関節に直径2mm、深さ2mmの骨軟骨欠損を作成し、2週間後に観察した。 その結果、最初のG-CSF投与方法(150μg/kgを5日連続投与)における修復組織と比較して、Wakitani scoreによる修復組織の定量評価、画像解析による組織修復率の定量評価、軟骨率の定量評価、軟骨下骨の定量評価とも、有意な改善は得られなかった。
|