研究概要 |
【^<31>P-NMRによる脳エネルギー代謝の測定】(担当:徳丸,黒木・北野) エーテル麻酔下にラットを断頭,速やかに大脳スライスを作成し,酸素化した10mMブドウ糖加人工脳脊髄液(ACSF)で灌流し,^<31>Pを観測核とする核磁気共鳴法(^<31>P-NMR)によりスペクトルを測定した。この実験系の標本作製や灌流系,^<31>P-NMR測定について,恒常的に改良を行った。 【CV-159よるに神経保護作用の脳虚血-再灌流モデルを用いた検討】(担当:徳丸・黒木・北野) ACSFに10nM~10μMのCV-159を添加した群(添加群)と対照群とで,脳スライスに対する虚血-再灌流負荷前後の脳スライス中の高エネルギーリン酸であるクレアチンリン酸(PCr)の回復を比較した。いずれの濃度でも,添加群と対照群との間にPCrの回復に差は認められなかった。CV-159の濃度による回復の差も認められなかった。 CV159は水に難溶性であり,灌流用チューブや試験管に吸着し易いことが原因と考えられる。 【電子スピン共鳴法によるCV159のラジカルスカベンジ能の測定】(担当:横井・古賀) 電子スピン共鳴法(ESR)を用いてCV-159のhydroxylラジカルスカベンジ能を測定しようと試みているが,上記のように水に難溶性であるため,未だ安定した測定ができていない。測定法を鋭意工夫中である。 【ルシフェリン/ルシフェラーゼ法によるATPの測定】(徳丸・黒木) 高エネルギーリン酸であるATPは^<31>P-NMRにより定量できるが,脳組織中の含有量がPCrと比較して少ないため,スペクトルのS/N比が小さく,定量が困難である。そこで代替手段としてルシフェリン/ルシフェラーゼ法のキットによるATPの測定を導入した。健常組織での測定を行い,妥当性を確認した。
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