腫瘍細胞におけるリドカインのアポトーシス誘導機序や局麻薬の種類による効果の違いは不明である。そこで、各局麻薬のアポトーシス誘導に関して培養腫瘍細胞(HL60:ヒト骨髄性白血病細胞)を用いて比較した。結果:リドカインは臨床使用濃度以下からHL60細胞にアポトーシスを誘導することを観察した。リドカインなどの局所麻酔薬の暴露で、細胞内が著明にアルカリ化するとともに、ミトコンドリアも脱分極した。これらの局麻薬による細胞内アルカリ化を酢酸やプロピオン酸などの弱酸で中和すると、ミトコンドリアの脱分極やアポトーシスは著明に抑制されたことから、局麻薬によるアポトーシス誘導機序の一因は細胞内アルカリ化であると結論した。
|