研究概要 |
意識下のラットで、脳波、筋電図、血圧および心拍数を記録しながら刺激電極を腹側被蓋野(VTA ; Br=-5.6mm, L=0.5mm, H=8.5mm)あるいは同側の青斑核(LC ; Br=-9.8mm, L=1.3mm, H=7.4mm)に留置し、定電流矩形波を刺激装置で与えた。その刺激にたいする反応を脳弓周囲視床下部(PFH)あるいは外側視床下部(LH)領域の細胞で誘発活動電位および自発活動電位として記録した。VTAを1mA 2Hzで刺激してPFHで記録するとsignal/noise比(SN比)が7:1以上のよく単離された活動電位が記録できた。記録可能だった細胞は12個でそのうちオレキシン抗体の結合を認めたのは3個だった。オレキシン抗体陽性細胞(ORX細胞)の特徴はburst and suppression patternを認めたが、覚醒時には睡眠時に比較して有意に発火頻度が増大し、活動電位の振幅も大きかった。LCを刺激してPFHで記録した細胞のうちオレキシン抗体の結合を認めたのは11個だった。 VTAあるいはLC刺激によって逆行性に刺激されたPFHおよびLHのORX細胞は、隣接した細胞(非ORX細胞)と異なる特徴的な発火様式や活動電位を示した。ORX細胞は活動電位の幅が広く周囲細胞と異なる波形(2相性)を示した。ORX細胞は安静時には発火頻度は小さいが、周囲刺激に対して発火頻度の増大を示した。ORX細胞活動が小さい時は脳波上徐派が認められた。覚醒時にORX細胞の発火頻度は有意に増大した(147±25% ; P=0.003)。
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