研究概要 |
脳弓周囲視床下部(Perifornical hypothalamus ; PFH)および外側視床下部(Lateral hypothalamus ; LH)のオレキシン(ORX細胞)の各種麻酔薬(プロポフォール;Pro、デクスメデトミジン;DEX、ケタミン;KET、ムシモール;Mu)に対する反応を記録した。Pro(200-1000μg/kg/min)を投与するとLHのORX細胞は影響を受けなかった。PFHのORX細胞活動は抑制された(200-1000μg/kg/min;22±15%-45±38%)。この反応に濃度依存性は認めなかった。DEX(0.2-1.2μg/kg/min)を静脈内投与すると血圧および心拍数は低下。脳波は高振幅徐波化(2-4Hz)し、δ波を認めた。筋電図上も体動が減少した。ORX細胞の発火頻度は有意に抑制された(72±12%,n=6;PFHのORX細胞)。反応に濃度依存性を認めた。このDEXのORX細胞抑制作用は、α_2受容体遮断薬であるヨヒンビン(0.3,1μM)の前投与で抑制(0.3μM;25±12%,1μM;52±22%)された。LHのORX細胞については、DEXを静脈内投与すると発火頻度は用量依存性に抑制(0.2-1.2μg/kg/min;5.3±12%-32±27%)された。KETに対するORX細胞の反応を調べた。KETを静脈内投与すると脳波は高振幅徐波化し、筋電図上も体動減少を認め鎮静されたが、PFC(89±72%)およびLH(105±17%)のORX細胞はKETに対して反応しなかった。Muを投与するとPFCのORX細胞活動は濃度依存性に抑制された(100-500μg/kg/min;10.7±18.2%-47±31%》。この反応は、GABA_<ZINE>(3μg/kg/min)の同時投与で有意に抑制された。
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