研究概要 |
本研究は右心肥大発症における神経伝達物質VIP,PACAPとその受容体の機能解明を、ラット肺高血圧・心肥大モデルを用いて行っている。 1)ラット肺高血圧・心肥大モデル作成;モノクロタリン投与4週間後に右室圧/血圧比、右室/左室重量比より肺高血圧、右室肥大を来たしていることを確認した。 2)Western blot analysisにより右心肥大ラットの右心組織中においてPACAPが減少している一方、VIP/PACAP共通受容体VPAC2、PACAP選択的受容体PAC1の発現量の有意な増加を認めた。またP53増加、VEGF減少を認め、肥大心筋に対し血管新生が不十分であることが示唆された。 更に、心筋と心臓神経叢、及び神経線維を送っている交感、副交感神経線維、中枢神経の免疫組織学的検討を行い責任部位の解明を行っている。 これらの結果よりPACAPの発現減少に対し代償的VPAC2,PAC1が増加していると推定し、PACAP補充により心肥大による心不全を改善するとの仮説を立てた。 3)PACAP発現ウイルスベクター作成;マウス脳組織mRNAからPACAPのcDNAを得、PCRによりPACAP発現遺伝子をプラスミドベクターにクローニングした。培養細胞にtransfectionさせ、細胞内、培養液中にPACAPが発現していることを確認した。心臓神経叢に感染させるためレンチウイルスベクターに組み込んでいる。
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