1.培養アストロサイトにおけるAQP9過剰発現系の作成 AQP9の機能解析を後の実験で行うために、AQP9を過剰発現したアストロサイト(Ast)の培養細胞株の構築を試みた。AQP9遺伝子発現には、CAGプロモーターを用い、IRES配列をはさんでピューロマイシン耐性遺伝子を発現するpCAG-IPベクターを使用した。現在、遺伝子導入の効率が悪いため、導入の条件を検索しているところである。 2.発現抑制系あるいは過剰発現系を用いたAQP9の機能解析 AQP9発現抑制系細胞株あるいは過剰発現系細胞株を用いて機能解析を行った。AQP9発現抑制系細胞株では大きな細胞の形態、増殖能の変化は認められていないが、さらなる検討を要する。AQP9の機能が欠損しても、AQP4などの他のファミリーが機能を補完している可能性が示唆される。 また、AQP9過剰発現系細胞株については、完全な確立ができていないため、検討はできなかった。 3.培養アストロサイトに障害を与えた際のAQP9の発現・機能変化 脳浮腫発症時にAQP9がどのように関与するかを明らかにすることを目的に行った。培養Ast低酸素・再酸素化モデルを用いて検討したところ、AQP9のmRNAと蛋白質量はともに低酸素により低下し、再酸素化により急速に増強した。虚血・再酸素化により、AQP9が増加することは明らかとなったが、その発現調節機能や機能的意義は不明であり、さらなる検討を要する。
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