麻酔・集中治療領域において、脳障害にともなう脳浮腫はしばしば遭遇する重要な病態である。しかし、その発生機序は十分には解明されていなかった。いくつかの報告や申請者の研究により、水チャネルであるアクアポリン4(AQP4)が脳浮腫に深く関与している可能性が示唆されていた。一方、AQP4に次いで発現量が多いAQP9の機能は十分には解明されておらず、脳浮腫への関与も不明であった。本研究により、脳のアストロサイト(Ast)においては、p38 MAPKとNF-κBによりAQP9の発現が調節されていた。詳細な検討により、AQP9は損傷初期には発現が低下し、その後高発現へと転じることが分かった。以上より、脳浮腫発生時にはAQP4に加えてAQP9も大きな役割を果たすことを見出した。
|