メタボリック症候群のない手術患者より摘出された大網つきの胃標本を直ちにクレブス液に入れ9℃に冷却保存した。病理組織標本を確保したのち、残りの大網を摘出2時間以内に和歌山県立医科大学麻酔科学教室に9℃に冷却のまま搬送した。外径0.8-1.2mmのヒト大網動脈の血管内皮を除去し、長さ2.5mmのリング状標本を作成した。正常ブドウ糖群(5.5mmol/L)あるいは高濃度ブドウ糖群(25.5mmol/L)に60分間暴露した後、-80℃で保存した。保存した標本を用いて、後日ヒト血管平滑筋内でのNADPH oxidase各サブセットのタンパク発現レベルを検討した。その結果、高濃度ブドウ糖暴露により、特に細胞内スーパーオキシドの産生の鍵を握ると考えられるp47phoxの細胞膜分画レベルが増大していることが明らかになった。さらに、高濃度ブドウ糖へ60分間暴露した直後の血管をコンパウンドで封埋後、-20℃に冷却し作成した20μmの厚さのスライス標本では、ヒドロエチジン(2×10^<-6>mol/L)20分間適用後にえられる585nm波長での赤色蛍光が増強しており、これらの血管平滑筋でのスーパーオキシドの産生増大も証明できた。次いで、4%パラホルムアルデヒドで固定した血管スライス標本で、細胞骨格のうちFアクチンフィラメントおよびNADPH oxidaseサブセットp47phoxを免疫組織学的に評価したところ、細胞膜でのp47phoxタンパク発現を裏付ける画像所見をえた。これについては現在画像解析中である。
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