研究概要 |
1.MTT法によってアドレナリン受容体作動薬はヒト口腔正常細胞およびヒト口腔扁平上皮癌細胞(HSC)に対して傷害性を示し、その強さはisoproterenol>dexmedetomidine>adrenaline>clonidine=phenylephrineの順であった。 2.isoproterenolとdexmedetomidineに対する感受性の強さはヒト骨髄性白血病細胞(HL-60)(CC_<50>=90-160μM>HSC-2,HSC-3,HSC-4>ヒト口腔正常細胞>ヒト神経膠細胞>ヒト表皮角化細胞の順であった。 3.isoproterenolとdexmedetomidineは、HSC-2,HSC-4細胞に対して、アポトーシスマーカーを誘導せず、オートファジー阻害薬(3-methyladenine、bafilomycineA_1)による細胞死の抑制がみられず、スメア状のDNAの断片化が誘導されたことからネクローシスが誘導された可能性が示唆された。 4.α_2、βの受容体拮抗薬(各々yohimbine、propranolol)の前処置は、isoproterenolとdexmedetomidineの細胞傷害性を抑制しないことから、その細胞傷害性の発現には受容体への作用を介さないことが示唆された。 5.カテコール骨格を有するisoproterenol、adrenalineの細胞傷害活性はSOD+catalaseにより抑剃されたので、細胞外液中のROS(反応性酸素分子種)が関与していることが示唆された。 6.カテコール骨格を有さないdexmedetomidineの細胞傷害性は、高い脂溶性を示すため細胞内に取り込まれ作用を発揮すると考えられた。しかし、細胞外および細胞内のROSの発生を抑制するSOD+catalaseおよびMn-TBAP(10μg)の前投与でdexmedetomidineの傷害性は抑剃されないことから、ROSが関与する可能性は低いことが示唆された。
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