臨床において麻酔を行う場合、複数の麻酔関連薬物を同時に使用して麻酔に必要な効果をえている。従来、薬物の組み合わせや投与のタイミングは、臨床医の経験と勘によって調整されることが多かった。近年、薬物動態と薬力学に関する知見が蓄積され、とくに薬物相互作用効果を予測することで、麻酔薬の使用量と副作用を最小限にとどめ、麻酔に必要な効果を最大限に達成する試みが行われている。本研究は、神経伝達ネットワークの並行回路モデルである「多経路多単位系モデル(Multi-Unit and Multi-Path System Model、以下MUMPSモデル)」を発展させ、麻酔関連薬物の相互作用の機序を明らかにし、臨床に応用することを目的とした研究である。 現在、すでに発表されている健常成人におけるプロポフォール/レミフェンタニルの圧痛に対する反応の実験結果を「薬物相互作用のMUMPSモデル」の一般式を用いて解析している。 また、得られたパラメータから、Response Surface Modelを再構築している。 今後、既知の薬物の組み合わせの異なるエンドポイントに対する薬物相互作用を検討する。これによって、適切な麻酔深度や安全で円滑な麻酔導入・覚醒の手順を明らかにする。
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