敗血症状態での脳内における転写因子の発現部位を免疫組織染色法で解析した。Wistar系Rat(250-300g)を用いてpentobarbital麻酔下に、盲腸穿孔モデルを作成し、24時間後にイソフルラン麻酔下にRat脳を4%ハラホルムアルデヒドで還流固定。固定2時間後にRat脳を取り出し、クライオスタット(Leica CM1900)を使用して10μmの脳スライスを作成。作成した脳スライスにABC法を用いたImunohistochemistry法で測定した。組織片中の内因性のperoxidaseをブロックするために0.3%H2O2を30分間投与。Phosphate buffer solution(PBS ; pH=7.4)で洗浄後、3%のnormal goat serumで抗原を固定。1000倍に希釈した1次抗体であるNF-κBとAP-1抗体(アマシャム社製品)で24時間撹拌。PBSでその脳スライスを洗浄した後、Avidin-Biotin Complex(ABC kit:アマシャム社製)を投与し発色させ1時間後にHematoxilinでConter染色する。Conter染色することで脳のどの神経細胞により多く発現しているかも観察した。研究成果としてhippocumpus CA1領域とCA3領域に強いNF-κB発現が確認できた。またNF-κB発現の時間経過を観察したところ敗血症状態が完成されてから12時間を経過してからその発言が強くなることも確認できた。今回の研究の意義としては敗血症での中枢神経細胞障害の細胞情報伝達系の障害は主に海馬から始まるのではないかと推測され、組織specificな保護を目指した治療法の確立に役立つのではないかと思われる。
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