in vivoパッチクランプ法を用いて敗血症状態での脳内における大脳皮質神経細胞内の神経細胞活動の変動の検討を行った。まず初めにラットモデルの作成を行った。Wistar系Rat(250-300g)を用いてpentobarbital麻酔下に、盲腸穿孔モデルを作成。気管切開を行い人工呼吸器に装置してセボフルラン1MACで維持。持続的血圧の測定と採血のために頚動脈、輸液用に尾静脈にそれぞれPE50カテーテルを挿入。脳固定器具を利用して大脳を固定し、ドリルを利用して大脳皮質を露出した。それから海馬CA1領域の錐体細胞からの全細胞記録を実施した。赤外線顕微鏡下に直接細胞の形態を観察しながら、CA1領域の錐体細胞からホールセルパッチを行った。また膜電位固定下に興奮性シナプス後電流、膜電位固定下に自発性・刺激性誘発性の電圧測定をして海馬CA1領域の錐体細胞ニューロンの膜の電気生理学的性質を測定した。 CA3-CA1シナプスでのlong-term potential (LTP)の誘導するには、このシナプスはグルタミン酸作動性の興奮入力が豊富であることから、シナプスの可塑的変化を観察する実験で頻用されている。CA3領域細胞の軸索(Schaffer側枝)を刺激電極で刺激して、細胞外記録法を用いて興奮性シナプス電圧(field EPSP)を記録した。0.1Hzのテスト刺激に対する反応を調べてその振幅(あるいは傾き)の変化率を経時的に測定するが、この間に条件刺激(100Hz)を行うと、その後は持続的にシナプス電位の振幅が長時間にわたって上昇した。 今回の研究の意義としては敗血症での中枢神経細胞障害の細胞情報伝達系の障害は主に海馬から始まるのではないかと推測され、組織specificな保護を目指した治療法の確立に役立つことを証明した。
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