<平成23年度の研究結果> 目的:NF-κBやAP-1はTLR-4やTLR-2受容体刺激により敗血症中期から活性化されるのが確認されかつ敗血症患者での重症度と活性化が一致していることが確認されている。また、臨床上では治療を開始する場合は敗血症が進行してから6-8時間後になることが多い。そのため平成23年度のin vivoの実験では敗血症が完成した6時間後にアンタゴニスト投与を行い(1)Imunohistochemistry法を用いた脳内NF-κBやAP-1発現への効果の検討、(2)中枢神経障害を改善可能かどうかの検討、の2点について実験を行った。 方法:Wistar系Rat(250-300g)を用いてpentobarbital麻酔下に、盲腸穿孔モデルを作成。6時間後にアンタゴニストであるエダラボンを1mg/kg投与。その後24時間後にイソフルラン麻酔下にRat脳を4%ハラホルムアルデヒドで還流固定。固定2時間後にRat脳を取り出し、クライオスタット(Leica CM1900)を使用して10μmの脳スライスを作成。Imunohistochemistry法で測定した。 もう一方の実験系として盲腸穿孔モデルを作成して、6時間後にアンタゴニストであるエダラボン1mg/kg投与し、その後24時間後に急性侵害刺激に対する反応を検査した。 結果:エダラボンを投与した群では、CA-1領域におけるNF-κBやAP-1発現が約30%減少し、hot-plate tesやpaw flick testに対する時間が短縮され、中枢神経障害の軽減につながった。 結論:エダラボン投与により敗血症由来の中枢神経障害を軽減できる可能性がある。
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