研究概要 |
研究初年度では倫理委員会での承認を待って『肥満閉塞型睡眠時無呼吸患者におけるマスク換気困難のメカニズム』研究を予定したが、倫理委員会の承認の遅れもあり、残念ながら統計学的な処理が可能であるほどの対象患者数に対して行うことができなかった。しかし、肥満睡眠時無呼吸患者の咽頭閉塞のメカニズムに関し、文献的研究を進め、1編の英文review article,2編の和文総説において独自の仮説を展開するとこができた。また、国内外でのこのテーマに関係する招待講演やシンポジウムにおいて国内外の研究者と議論を深めることができた。これらの文献的考察あるいは研究者との交流により、肥満睡眠時無呼吸患者の咽頭閉塞のメカニズムとして、咽頭周囲の軟部組織の相対的過剰に加えて、肥満による肺容量の減少が大きく関与する可能性がクローズアップされてきた。従って、本研究の主題である気道確保手技のみで有効な気道確保が達成できるかどうかという新しい仮説・疑問へと発展させることができた。この点に関しては、当院周術期気道困難外来における診断目的で撮影されるセファログラムの詳細な解析により、肥満睡眠時無呼吸患者は、肥満の無い睡眠時無呼吸患者と比較して、肺容量が減少したときに咽頭がより短くなるという結果も得られた。22年度は、21年度に完了できなかった研究予定を行うとともに肺容量の影響も考慮した研究を遂行することとする。
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